【エルデンリングDLC】影樹とは何なのか?【考察】

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当記事では『エルデンリングDLC』のネタバレがあります! ご注意ください!

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オデ、イエティ。
今回は『エルデンリングDLC』の考察をしていきます。

お題は『影樹』について。

目次

影樹とは

画像引用元:エルデンリング公式 様 スクリーンショット

DLCの舞台である影の地にそびえたつ大樹は、影樹という名称で呼ばれる黄金樹の影であるという。
影の地の象徴とされる影樹なのだが、実のところクリアしてもこの木が何なのか、という謎は明かされていないのが現状だ。この大樹は一体どういう存在で、何を発端に生まれたのか。なぜ、ねじくれた幹が巻き付いているのか。


情報を整理しながら考察していく。今回は特に想像力で補う部分が多いことをご了承いただきたい。確たる描写がなく断言できない点も多々あるとは思うが、お付き合いいただければ幸いだ。ではまずは影樹の概要について。


DLC発売前のインタビューによれば、このコンセプトアートの左奥にそびえているのが、黄金樹の影であり、「影樹」と呼ばれる存在であるという。実は英語版での名称は「Shadow Tree」ではなく、「Scadutree」となってい「Scadu」というのは古英語をモチーフにした「Shadow」の綴りを表しているようだ。

英語圏でも馴染みのない読みに困惑していたユーザーがいて話題になったとか。シンプルにShadow Treeではないところに、何かしらの意図があるのだろう。

影樹を見てみよう。特徴的なのは黄金樹とは異なり、幹が二本あること。一本は斜めではあるが真っ直ぐに立っていて、中心部から黄金色の、液体のようなものを滴らせている。またそれに絡みつくもう一本の幹は、非常にねじれた形をしているのがわかる。


また、影樹はボロボロと、黒い粒子のようなものを落としている。この粒子は剥がれ落ちていっている。

影樹について語るアイテムを見てみよう。影の地のルーンによると影樹は黄金樹の影であり、だからこそ、祝福を強く輝かせるという。影樹は強い祝福を持っており、その特性は黄金樹の影であることに由来している、という意味だろう。

またDLCの攻略で重要となる影樹の破片によると、影樹は内から壊れかけているようだ。

影樹が内から壊れるとき、影の地の全土に
影樹の破片が飛び散るという。


実際にプレイヤーは各地でこのアイテムを集めることになる。また、黄金樹の民はそれを集めて祈っている。というテキストから分かるように、王都の黄金樹そのものではないにせよ、影の地にいる黄金樹の民は影樹も信仰の対象に含んでいるのだろう。

信仰の対象となる理由としては、影樹が黄金樹由来の祝福を持っていることが挙げられる。祝福された骨片によると、

影の地に倒れた戦士たちに、影樹の黄金が降ったもの
これは死に与えられる最上の名誉とされている
その祝福は静かに輝きを増している

とも言われており、現在の狭間の黄金樹よりも影樹の方が、強い祝福を持っているのかもしれない。

宿将ガイウスの守る影の城の裏門、その先には影樹の聖杯と呼ばれる、巨大な空の聖杯が置いてある。この場所は影樹の麓に近く、影樹の欠片や祝福された骨片といった、影樹の祝福が多く見られる。人々はここで、影樹からの祝福を受け取っていたのだろうか。

また、この影樹の聖杯の見た目は聖杯の雫の聖杯によく似ている。杯の下から根が伸び、カップ部分に巻き付くようなこの意匠は、黄金樹の民がその恩恵を得ることを示しているものと考えられる。


しかし正反対に、影樹の存在によって黄金樹への信仰を捨てた者もいる。黄金樹への敬虔な信仰を持ちながら、影の地で報われることがなく。それ故に祈祷を捨てた者たち。彼らは影樹の姿から、魔術を見出している。

身を捩る影樹の姿が教えている。
全てを拒み、傷付けるがよい。
我らは見棄てられたのだ。

このテキストは信仰を捨てた者の視点であり、影樹そのものの考えはわからないが、影樹に「拒絶の棘」という特性があることは、別のアイテムにも記されている。影輪草は狭間の金輪草に似た影の地の植物。影樹に向かって咲いており、影樹の近くで入手できる。この影輪草のテキストには、

暗く影を帯び、拒絶の棘を纏い
その内に強い聖性を宿している
まるで、影樹そのもののように

とある。つまり影輪草の持つ特性は、影樹と酷似しているのだ。影樹の麓にいるボス、影樹の化身はその事実をよりダイレクトに伝えている。影樹の化身は巨大な影輪草のような見た目を持ち、拒絶の棘と黄金の聖性を身にまとっている。

この影樹の化身はその追憶によると、影輪草でもあるという。つまり影輪草が影樹と同じ特性を持つことは、影樹の化身=影輪草という事実からも明らかである。


さて、影樹の化身である影輪草の追憶には、影樹がどういった存在なのか、その一端が記されている。

影樹とは、黄金樹の影であった
律とは呼べぬ、暗い思いから生まれ
それ故に脆く、ねじくれていた


このテキストからは、影樹の由来が読み取れる。まず、影樹は律と呼べない暗い思い。つまり誰かの感情から生まれたこと。そして暗い思いから生まれたが故に脆くてねじくれていること。誰の感情から生まれたかはとりあえず置いておき、影樹の状態と照らし合わせてみよう。


影樹の欠片にあるように影樹は内側から壊れている。これは影樹が脆いから、なのだろう。次にねじくれていること。ねじくれている理由も暗い思いから生まれた故。影樹の麓を見ればわかるが、影樹は二又の太い幹が育ち、途中でねじれている。つまり暗い思いで生まれなければ、こうした形に育たないのかもしれない。

影輪草の大花には、そのあり様は影樹に似て、花付きの茎を支え、抱きしめるようにもう一本の茎が絡み付いている。
というテキストがある。つまり、一本の幹を支え、抱きしめるように絡み付くことこそが影樹のあり様。


このテキストから考えると、暗い思いでねじれたと言う割りには、母の慈愛のような印象がある。実際の影樹のあり様がどういったものなのかは、その暗い由来とは乖離したものなのかもしれない。


次に影樹の正体について考えを深めていく。影樹はなぜ強い聖性を持っているのか。

影樹の正体

影樹は一本の幹の中心から、黄金色の液体を流している。この液体はおそらく「樹液」だ。焼炉のゴーレムから入手できる割れ雫によると、

飛散した影樹の樹液が焼炉のゴーレムの底に溜まり、
永き時の末に生じた、結晶の雫だという。


この樹液というのは、狭間の地における結晶雫と酷似している。

黄金樹の恵みが降り注ぐ地に、
永き時の末に生じた、結晶の雫。

つまり影樹の樹液と黄金樹の恵みは、同じものであると考えられる。影樹は強い聖性を持ち、黄金樹の恵みを生じる。
黄金樹に向いて咲く金輪草があるように、影樹に向いて咲く影輪草がある。これらの相似からシンプルに考えれば、
影樹=黄金樹と見ることができる。

影樹を黄金樹として見ると、様々な描写の説明がつく。まず影樹が流す樹液は緋琥珀のメダリオンにある、
黄金樹の古い雫」そのものだろう。古い時代には黄金樹は恵みをもたらし、マリカはそれを手ずから与えていたという。

その様子を示すタリスマンが幾つかあるが、この雫の色は明らかに影樹の樹液と同じ色である。琥珀とは、黄金樹の古い雫であり、最初のエルデの王ゴッドフレイの時代に特別な宝石として扱われた。ゴッドフレイが黄金樹の古い雫を受領する、王の受領のタリスマンも影の地で見つかることから、影の地に古の黄金樹があったという証左と言えるかもしれない。

また、本編で黄金樹の入り口を封鎖していたのは「拒絶の棘」だ。影樹やその化身が纏うのも同じ拒絶の棘。黄金樹と影樹は同じ性質を持っている。

また、影樹の化身に由来する祈祷、「影の地」は古の黄金樹に属する祈祷である。

古の黄金樹祈祷は、かつての黄金樹が恵みをもたらしたことを語っている。そしてさらに直接的な描写が謳われぬ英雄のルーンには存在する。このアイテムのテキストにはこうある。

影の地に倒れた英雄たちの祝福
その黄金の残滓
かつて戦場には、英雄があった
彼らは、黄金樹に強く祝福され、名誉なく死んでいった

影の地に倒れた英雄に黄金樹の祝福が与えられているということは、この影の地がかつて狭間の黄金樹信仰の中心に近い場所にあった証拠だ。

つまり影樹というのは古い時代の黄金樹のこと。古の黄金樹の、なれの果てではないだろうか。
より正確に言えば影樹とは、古い黄金樹と、それに絡み付く影樹。この二本で構成された「交差樹」ではないだろうか。

交差樹というのは、一部のアイテムで語られるその名の通り交差した木のモチーフだ。交差樹のタワーシールドによれば、描かれているのは古い交差樹の意匠となっている。また、交差と言えば角人の文化にある螺旋を思い起こさせる。


実際にベルラートなどには幹が絡み合う木が彫られた石板がある他、角人の信仰の印は螺旋樹の聖印と呼ばれている。これらの象徴から考えを深めると、狭間に立つ一本の黄金樹よりも、交差樹・螺旋樹の方が本来の黄金樹のあり方として正しい可能性もある。

また、ミケラのシンボルは黄金の交差樹だ。この交差樹はレダの鎧や、レダからもらえるタリスマンにもデザインされている。ミケラの聖樹も二つの幹があることから、順当に伸びていたら影樹のような交差樹となっていたのだろう。

ミケラの聖樹の片方の幹は成長が止まっている。おそらくこの幹の問題で聖樹は交差樹とはならなかった。成長が止まったのは、聖樹の主であり一時は聖樹に宿っていたミケラの、成長しないという宿痾だろうか。

エブレフェールは聖樹の「支え」であり、物理的に聖樹を根元から支えるための場所だ。つまりミケラは聖樹を安定させるために支えが必要であることを知っていた。二つの樹が成長しないと交差樹とはならない。それ故にミケラは聖樹への宿りをやめ、神となる計画にシフトしていったのかもしれない。


では影樹はどうだろうか。改めて見てみると絡み合った影樹はしっかりと交差している。

その様子はメスメル兵の兜に象られているが、こちらも交差樹の意匠に似ている。

黒騎士の鎧にある影樹の紋章はまた少し違った意匠だが、こちらも交差しているのがわかる。では、影樹がかつての古の黄金樹と影樹が絡み合った交差樹だとして。現在、狭間にある黄金樹は一体何なのか。個人的には、現在立っている黄金樹はかつて恵みを与えていた古の黄金樹とは別の、律だけの黄金樹と考える。

まず、現在の黄金樹はご存じマリカ/ラダゴンが幽閉されている。つまり黄金律のある黄金樹だ。この黄金樹は全体が黄金色に発光していて、影が差していない。

一方で影の地の巫子の村にある黄金樹は、律無き黄金とされる。つまり黄金樹というのは律のあるものと、無いものに分けられている。例えば巫子の村の祈祷で作られた小黄金樹や、狭間の各地で種から育った小黄金樹には律がない。

影樹は律とは呼べぬ、暗い思いから生まれ、とあるように律とは呼べない交差樹だ。つまるところ律(黄金律)のある黄金樹こそが重要であるため、マリカは律のある黄金樹のみを狭間に残し、律のない影樹は影の地へ隠したのではないだろうか。あるいはマリカそのものが黄金律のため、マリカが影の地を狭間から切り離した際に、古の黄金樹からは律が切り離され、律のある黄金樹は王都ローデイルに移動した。とも考えられる。


狭間と影の地はかつて繋がっていたが、物理的に切り離されたことが公式インタビューでは語られている。

古の黄金樹は恵みを与えるものだったが、恵みが尽きたことで影樹として影の地へと隠された。そして恵みのない、黄金律だけの黄金樹だけが狭間に残っている。と考えられる。

根脂には「その根は、かつて黄金樹に連なっていたといい」と書かれている。つまり今の大樹根と地上の根は、現在の黄金樹には連なっていない。現在の黄金樹はあくまで黄金律を内に秘め、象徴として輝いているだけのものであり、大樹根とは繋がっていない。


事実、黄金樹は光っているが根は光らないし、黄金樹が燃えていても大樹根は燃えていない。狭間の黄金樹と大樹根は繋がっていないのだ。かつての大樹根は、影の地にある影樹の根と繋がっていたのではないだろうか。

実際に影の地では大樹根の周りで採れる根脂とよく似た、瘤脂というアイテムが入手できる。この瘤脂は原始的な触媒となるという。それは影樹が本来の黄金樹の一部だからじゃないだろうか。


そして、影樹の祝福は誰も訪れなくなった今現在に、再び静かに輝きを増している。これはなぜなのか考えてみよう。影樹の欠片によると、影樹は内側から壊れようとしている。影樹が壊れかけている理由は不明だが、これにはエルデンリングの破壊が影響しているのかもしれない。

本編では黄金樹を焼いたことで、褪せ人の拠点である円卓も焼け始めている。円卓は狭間と切り離された謎の場所に存在している。しかし黄金樹との距離に関係なく燃えていることから、黄金樹(黄金律)の状況は、それを由来とする全てに影響する、と考えられる。


それを踏まえると影樹の祝福が輝きを増している理由は、エルデンリングが砕けかけていることでその命が尽きる間際だからと見ることもできる。

影樹の化身は三段階目になると変わったポーズを取って、聖属性の大爆発を起こす。この体をよじって斜めにするのは、現在の影樹の形を模しているのだろう。つまり影樹の化身の行いはある種の予言であり、影樹はその生命が尽きる時に強い聖性を解き放つのかもしれない。

原初の大罪

影輪草の性質でわかることだが影樹は内側に聖性を秘めている。つまり、真っ黒いのは外側だけ。中には聖性や樹液が溜まっているということだ。冒頭で触れたように影樹からは黒い粒子のようなものが剥がれ落ちている。これは「影」なのだろう。狭間に立つ黄金樹が黄金樹の光で、影樹は黄金樹の影なのだ。

黄金樹の影(SHADOW OF THE ERDTREE)という、今回のDLCのサブタイトルの意味は二重にある。まず一つ目は本編で輝いていた黄金樹と、その信仰の裏にある後ろ暗い点のことを指していると考えられる。つまり物事の裏面、背後という意味での「影」だ。二つ目がかつての黄金樹が光と影に分かたれたこと。つまり影樹はもう一つの黄金樹であるという点。

黄金と影は共にある。このテキストは二つの存在が表裏一体であることを指している。

こうした考察を踏まえると英語版の影樹の名称が古英語を用いたScadutreeであることに意味を感じられる。影樹は黄金樹の影で、古き黄金樹そのもの。そして今は影の地へと隠されている。


影というのは光によって生まれるものだが、影の地という舞台においては「何かを隠すもの」として影の描写が多く見られる。では、なぜ影に隠されたのか。影樹の生まれについて言及しているテキストを読んで再確認する。

影樹とは、黄金樹の影であった
律とは呼べぬ、暗い思いから生まれ

影樹は誰かの暗い思いから生まれたこの暗い思いは永遠の女王マリカのものだろう。DLCのストーリートレイラーによると、

はじまりは、誘惑と裏切りだった
黄金はそうして生まれ
また、影も生まれた


とある。この影が何を指しているかは不明だが、影樹のことであってもおかしくない。黄金は生まれ、また影も生まれた。この言葉は古い黄金樹と、それに絡み付く影樹の、交差樹のことを示しているのではないだろうか。

影の地においても黄金と影は共に語られている。またメスメルの火の時点ではエニル・イリムそのものが影に封じられているが、これはおそらくマリカによる封印だ。マリカが自発的に行った封印のことを「影が生まれ」とは表現されないだろうから、黄金と共に生まれたのは影樹と考えても問題ないだろう。


ストーリートレイラーではその後、メスメルの火でベルラートが焼かれる中、影樹が奥に映っているのが見られる。
つまり、影樹はメスメルの火よりも遥か昔に、暗い思いによって生まれたということだ。


マリカはなぜ、影樹を影の地に隠したのか。とりあえずマリカが影の地に隠したものを全て洗い出してみよう。
メスメルの追憶を見ると、ストーリートレイラーと関連したマリカの思いが描写されている。

それでもなお、彼を影に隠した
はじまりの罪と、忘れ得ぬ憎しみと共に

彼というのはメスメルのことで、メスメルと同時に「はじまりの罪」と「忘れ得ぬ憎しみ」も隠されている。
まず分かりやすいところから。忘れ得ぬ憎しみは、巫子であるマリカとその一族が、角人によって虐げられたことだろう。神となったマリカはこの復讐として、メスメルに角人への粛清を命じている。

はじまりの罪については、「はじまり」という言葉がストーリートレイラーと共通している。はじまりは、誘惑と裏切りだった。黄金はそうして生まれ、また影も生まれた。つまりマリカの罪によって古い黄金樹と、暗くねじくれた影樹の交差樹が生まれた、と考えることもできるかもしれない。


少なくとも影樹が生まれた理由である、暗い思いはマリカの罪や裏切りと関係しているはずだ。また、マリカはエニル・イリム全体を影に包んで封印している。エニル・イリムの神の門はマリカが神となった場所だ。この事から、マリカは自らが神になった方法。自らの行いそのものを明らかにすることを拒んでいる。


その理由は黄金と影が生まれた際にあった、誘惑と裏切りにあるのだろう。しかし、ストーリートレイラーの描写だけではこの二つの詳細を考察するのは難しい。

今回はマリカが犯した罪を、過去の黄金樹に一度は起きていることと照らし合わせて考えてみる。指読みのエンヤが言うように、黄金樹は一度燃えている。

…あんた、それは…
それは、人の身には決して許されぬことじゃ
黄金樹を焼くは、原初の大罪

黄金樹を焼くのは原初の大罪、つまり「はじまりの罪」だ。影の地にそびえる影樹は、かつてマリカが焼いた原初の黄金樹なのかもしれない。

黄金樹を焼く滅びの火は、本編でも何度か語られている。火を灯した燭樹という紋章は大罪の予言をひそかに示すものとされ、禁じられている。

滅びの火は、黄金樹の禁忌であり、預言者は信仰の内にそれを垣間見る。そして、故郷を追われる。預言者の素性や、NPCコリンはこうした滅びの火を信仰の中で予言してしまい、追放された者たちだ。

預言者は、黄金樹を見上げ絶望する
もうすぐに、種火が滅びを燃え上がらせる

黄金樹に敬虔な信仰を捧げれば捧げるほどに、未来に起こる出来事を垣間見てしまうのだろう。

また、巨人の火は黄金樹を焼くことができるため封印されているという。巨人の火とは、黄金樹を焼く滅びの火である。それ故に、巨人戦争の後に封じられ監視者たちが生まれたのだ。かつて黄金樹は一度焼かれており、それ故に巨人は真っ先に滅ぼされた。

巨人戦争はマリカが主導しているので、かつて黄金樹を焼いたマリカが火を封印するというのは矛盾しているようだが、マリカは死のルーンに関しても封印してから盗み出しているので今更かもしれない。あるいは、原初の大罪を行ったのはそのまま火の巨人かあるいは火の悪神と直球で見ることもできる。

メスメルとその妹(暫定)のメリナは、黄金樹を焼くことのできる火の幻視を宿している。これについても考えてみよう。

まず、マリカの血筋は呪われている。なぜ呪われているのかは明らかにされていないが、マリカの行いやマリカへの恨みがその血筋に呪いとして表れているように見える。例えばラダゴンは自らが持って生まれた赤髪を巨人の呪いだと考えて絶望している。これはマリカが巨人戦争で巨人たちを滅ぼしたからだと考えられる。

次にモーゴット/モーグは角がびっしりと生えた忌み子として生まれ、王都の地下に幽閉された。これは影の地の粛清の聖戦で滅ぼされた、角人たちの呪いだと考えられる。

では火の幻視を宿して生まれたメスメル/メリナは、マリカが黄金樹を焼いたことで幻視を宿して生まれてきた、と捉えることもできるのではないだろうか。

メスメルは自らの火を憎んでいた。それは、かつて黄金樹を焼いた滅びの火だからとも考えられる。

とはいえもちろん、これらはすべて確証のないことであり、影樹は黒いという以外に燃えている印象は薄い。ただ、黄金樹を燃やすという原初の大罪が行われたのが影の地だというのは十二分にありえる話だ。それだけ影の地には黄金樹の始まりと、女神マリカのルーツが詰まっている。

さて、長くなったのでまとめよう。

影の地にそびえる影樹は、メスメルの火よりも前に生まれた交差樹だ。古の黄金樹と、それに絡みつくようなねじれた影樹が一体となったこの交差樹は、古の黄金樹由来の強い聖性と、同時に拒絶の棘を纏っている。そして影樹はかつての黄金樹ではあるが、その生まれはマリカにとっては隠したいものだった。それ故に永い時間影の地に隠され、そびえ続けている。

忘れられた地である影の地で、この影樹は黄金樹の恵みである樹液を流している。しかしこの大樹は脆く、内側から壊れゆく様を晒してもいる。影樹の化身は生命の危機に瀕したとき、内側から強い聖性を爆発させる。このありさまから、影樹の化身は影樹の終わりを予見しているのだろうか。

というわけで今回はここまで。おつかれさまでした。

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