当記事では『エルデンリングDLC』のネタバレがあります! ご注意ください!
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オデ、イエティ。
今回は『エルデンリングDLC』の考察をしていきます。
お題は『卑兵・影卑兵』について。
卑兵とは
狭間の人里離れた場所を散策していると、物陰から褪せ人を狙う、小さな影を見かける。煙玉や毒の罠、そして出血のついた武器を用いて集団で襲い掛かってくる卑兵たち。彼らは小人とも言うべき、小さな体格の者たちである。
体と力は小さいながら恐るべき狡猾さで襲い来る卑兵たち。彼らは一体、何者なのだろうか。
今回は卑兵、そして影卑兵について掘り下げていく。まずは狭間の地に生息する卑兵について。
卑兵シリーズのテキストにはこうある。
薄汚れた、小柄な卑兵たちの装備。
誰も近づかぬ、悪臭の戦場跡。
あるいは、忘れられるべき禁域。
卑兵は、そうした場所の、
名誉なき番人である。
このテキストにある通り、卑兵が現れるのは各勢力の兵士とは離れた、独立した地域だ。基本的に卑兵は別の勢力と
直接的に手を組んではおらず、卑兵たちのみで現れる。しかし「番人」とあるように、卑兵たちは役割を与えられてそれを守っているように見える。
卑兵の遺灰にはこうある。
狭間では、体小さき者は蔑みの対象であり、
名誉なき卑兵は、彼らの生きる術だった。
卑兵がなぜ小さく生まれたのか? という背景は明かされていないが、卑兵が卑兵として生きる理由は、体の小ささ故に差別されているからだという。
卑兵の兜によれば、少しでも、その体躯を大きく見せるために、頭頂が長く尖っているデザインなのだという。自らの矮躯を武器に隠れながら戦うのに、頭を少しでも長く見せようとするところに、彼らの深いコンプレックスを感じ取れる。
卑兵ほどではないが、似たような体の小さい存在としては、小姓が挙げられる。
貴人に仕え、旅に従った小姓の霊体。
主を守るため、刺剣と弩の両方に通じている。
能力、才能、あるいは意志。
それら一切関係なく、
ただ小さく生まれついた故に、人は小姓となる。
こちらもやはり、小さく生まれたことで差別されている。小姓は優れた戦闘力を持っていることがわかるが、そうした要素とは関係なく、小さく生まれたことで差別を受けている。だとすれば小姓よりもさらに一回り以上小さい卑兵の立場が低いのは、黄金樹の治世の中では当然なのかもしれない。
名誉なき卑兵は、彼らの生きる術だった、という一文からは、各地の番人をしている理由は選択肢がないからだと考えられる。例えばロルドの大昇降機の先にある禁域は、立ち入りの禁止された巨人たちの山麗に続く道だ。黄金樹勢力との取引により、巨人たちの山麗に向かう者たちを狩っていると考えられる。
聖樹への秘路にも現れることを考えれば、彼らも弱き者として、ミケラの聖樹を目指しているのかもしれない。また、獣の神殿前にいる卑兵は獣の祈祷と死のルーンもどきを使ってくる。この事から獣の司祭グラングによって力を与えられ、神殿前を警備していると捉えられる。個人的な印象だが、祈祷と死のルーンもどきを与えられるのは、卑兵にとっては破格の待遇ではないのだろうか。
卑兵の獲物は卑兵のショーテルと、卑兵のノコギリ。ショーテルが特殊な形状をしているのは、反りを内側にした形で斬りつけることで、敵の盾をかわして攻撃を行うため。
卑兵のショーテルの場合は、自らの間合いの短さを埋めるために長柄になっている。これを扱いこなすのは至難の業なのではないだろうか。
卑兵のノコギリも同じように長柄の先に刃がついたものだが、こちらには興味深いテキストが記されている。
ノコギリは、死者の解体にも使用され、卑兵たちは、それを食べると噂される。
誰も、それを見た者はいないのだが。
このテキストは卑兵がノコギリで死者を切って食べることを噂しているが、その噂が根も葉もない、胡乱なものであるというニュアンスが見られる。誰も見た者はいない、という言葉が意味ありげについていることからも、卑兵は人を食べたりはしないのだろう。これも小さく生まれたものへの、差別の一つと考えられる。
次に影の地の卑兵、影卑兵について。
影卑兵とは
影のように暗い、卑兵たちの兜という言葉から、影卑兵とは影の地の卑兵であることがわかる。
誰も近付かぬ、悪臭の戦場跡。
あるいは、忘れられるべき禁域。
それが卑兵の居場所であれば、
影の地は、正に相応しいだろう。
これは狭間の卑兵の説明の、一つのアンサーとなっている。卑兵たちの居場所がそうした誉れのない土地だとすれば、影の地こそが打ってつけであると。しかしその物悲しいテキストとは裏腹に、狭間よりも待遇が良い可能性もある。
影卑兵が出没するのはサソリ川の地下墓前や、影の城の中。つまりメスメル軍に関係した場所である。特に影の城はメスメル軍の総本山であり、ここにきてついに卑兵は各勢力軍と肩を並べていることになる。
影卑兵が巧みに隠れ潜んでいる種の保管庫だが、ここはかつて火の騎士ヒルドが提唱者の一人となった、重要な施設である。影卑兵たちはメスメルが許可をして作られたと考えられる、影の城の中央区域を任されている。
そのメスメル軍に誉れがないとされているため、彼らの地位が上がるわけではないのだろうが、差別に次ぐ差別しかない、狭間よりもよっぽど良い待遇だとは考えられないだろうか。
影卑兵の兜は特に記述はないが、卑兵の兜のように頭頂部が尖っている。これは卑兵と同じように、自らの背を大きく見せようという工夫だろう。影卑兵の兜は布の中から煌々と目を光らせている。妙にかわいらしさがあることから地味に人気の高そうなこの兜だが、実は影卑兵が死亡してもこの目の光は消えない。
ではこの光は一体……。
また、卑兵シリーズには金属が使われているが、影卑兵シリーズには金属は見られない。もしかしたら、狭間に比べて危険が少ないために布装備になっているのかもしれない。あと細かいところだが、卑兵装備に共通している「薄汚れた」という記述が影卑兵装備にはない。意外と清潔だったりするのだろうか?
というあたりで掘り下げは以上。小さく生まれたが故に差別され、誉れのない居場所しか持てない卑兵たち。人食いをするなどという根も葉もない噂を流されながらも生きている彼らだが、その本当の居場所は、影の地にあるのかもしれない。
狭間の待遇とは打って変わり、影の城の要所である種の保管庫を任された卑兵たち。彼らの瞳が輝いて見えるのは、錯覚なのだろうか。
というわけで今回はここまで。おつかれさまでした。