【エルデンリングDLC】マリカが願った粛清の聖戦、その理由とは【考察】

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当記事では『エルデンリングDLC』のネタバレがあります! ご注意ください!

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オデ、イエティ! 今回は『エルデンリングDLC』の考察をしていきます!

お題は女神マリカがメスメルへ粛清の聖戦を願った、その理由について!

目次

粛清の聖戦 メスメルの火とは

まずはプレイヤーが影の地に足を踏み入れるよりも遥か昔に起こった出来事、『メスメルの火』について語っておく。

画像引用元:電ファミニコゲーマー 様

かつて影の地が隠される前からその地には「角人」と呼ばれる種族が暮らしていた。角人には独自の文化があり、当時は黄金樹と黄金樹に連なる勢力はまだ存在していなかった。

やがて稀人のマリカが神に選ばれたことで黄金樹が生まれ、エルデンリングが掲げられた。その後は黄金樹勢力が急速に成長し、やがて狭間の地の実権を握るようになった。それまでは角人と黄金樹は敵対関係になかったが、ある戦を切っ掛けに唐突に黄金樹勢力は角人たちに牙を剥いた。

それが「メスメルの火」と呼ばれる大虐殺である。女神マリカの子とされるメスメルが指揮を執り、唐突な侵略行為を始めると多くの角人が殺害された。やがて角人の勢力は衰え、その土地の多くを居残ったメスメル軍が支配するようになった。そしてやがてその土地は影に隠され、影の地と呼ばれるようになった。

プレイヤーが影の地に訪れた時点では角人の勢力は小規模になっており、塔の街ベルラートなどを除くとほとんどその姿を見ることはない。

さて、このメスメルの火はメスメル軍にとっては「粛清の聖戦」とされている。歴史上では唐突に女神マリカが角人の勢力を裏切り虐殺させたという絵図であるにも関わらず正当化されているのだ。その背後にはどのような理由があったのか? 

今回の記事ではその事について考察していく。

またメスメルの火を起こしたメスメル本人と、その人間関係についてはこちらの記事で掘り下げている。

粛清の聖戦が行われた理由

まずメスメルの防具などでわかることだが粛清の聖戦、つまり角人の掃討はメスメルの母、つまりマリカ自身が願ったことだ。メスメル自身の意思ではない。

マリカは黄金樹勢力として火の悪神を祀る火の巨人と争う「巨人戦争」など様々な戦争を起こした。黄金樹の始まりの時、周りは敵だらけだったことは様々なアイテムのフレーバーテキストに記されている。

しかし実のところ、角人と敵対関係になかったことは明らかだ。角人の老婆は「我らを裏切り火にかけた」と言っている。角人の勢力からするとマリカに裏切られる理由がなく、虐殺は唐突なことだった。ではマリカは何を思って裏切りを行ったのか。それはマリカの本心を知るメスメルの追憶に書かれている。

マリカはメスメルが持って生まれた邪な蛇を封印し、それでもなお影の地へメスメルを隠した。
はじまりの罪と、忘れ得ぬ憎しみと共に。

「はじまりの罪」と「忘れ得ぬ憎しみ」、この二つがマリカが隠したい本心だとするならそれは何なのか。一つずつ考えていく。

はじまりの罪と、忘れ得ぬ憎しみ

はじまりの罪とは

…はじまりは、誘惑と裏切りだった
黄金はそうして生まれ、また影も生まれた

マリカのはじまりと言えば一つしかない。神になったことだ。DLCのストーリートレイラーの冒頭で金髪の女性が何かから黄金の毛のようなものを引き抜き、やがて掲げている。これはエルデンリングの中央、ルーンの弧の部分と酷似している。つまりここでマリカはルーンの弧を掲げ、神となった。

ちなみにこの場所はDLC本編でミケラが神として再誕した場所、「神の門」である。神になるためにはこの場所が必要なのだろう。ここでマリカが、そして後にミケラが神となった。

ではなぜマリカが神となるのは「罪」なのか。またトレイラーでの「誘惑」と「裏切り」とは? 正直に言うとこの辺りについては情報がまったく足りず、これだという答えを出すのは難しい。記事全体としてはなるべく本編にあるテキストベースでの考察を行いたいが、ここではトレイラーの映像を元に憶測を多く含みながら考察を進めていくので話半分以下で見てほしい。

まずマリカは弧を掲げて神となった。この「」は、何かしらの布の中から引き抜かれている。トレイラーの音声を聞くとわかるがこのときかなり湿り気のある、何かの肉から引き抜くような音が聞こえる。つまりこの布か何かに隠されて見えないものは、何かしらの生物だ。そこからマリカは何かを引き抜き、掲げて神となった。

つまりこの生物は神になる資格を持つ生物、あるいは神そのものと考えることができる。マリカはその死骸から権利だけを奪った。その行為そのものが後ろ暗いことであり、マリカがそうした理由が何者かに「誘惑」された理由であり、神になる権利を自らが勝手に行使したことを「裏切り」とすれば表現としておかしくはなくなる。

神になる資格のある生物、あるいは神そのものである生物という線で考えたとき、エニル・イリムが角人の文化圏であることを考えればまず出てくるのは「神獣」だ。神獣そのものが存在しているのかは本編では不明だが、角人たちは神降ろしの神事として神獣を象った祭具を作り、優れた勇人が被って神獣獅子舞として舞った。この神獣そのものが存在したとしたら、神そのもの。あるいは神となる資格を持っているかもしれない。

とはいえ、あくまで神獣は「天の使い」であり神そのものではない。そして存在していたという証拠もないため、この線は薄いと思われる。

また非常に気になる点としてマリカが神になった際、この神の門に敷き詰められている大量の死骸はまだ血の赤を持っていることが挙げられる。マリカが踏みしめている赤い大地も血肉に見える。これらが死骸だとすると本編においてはすでに風化してしまっている。マリカが神となってから長い時が経ったから当然と言えば当然だが、マリカが神となった際に命が吸い取られ、こういう石化したような姿になったとも考えられる。

これらの死骸の多くは角人のものだ。つまり角人たちがここへ捧げられ、神を呼び出す。あるいは神を生み出すための贄に使われた。マリカが神となり、その贄たちは消費された。そう考えることができる。ちなみにマリカが大量の角人を血肉として用意したという線も考えたが、エニル・イリムには他の場所にも大量の角人の死骸が
あるのでマリカが残虐な方法で用意したという線は薄いと思われる。

ちなみにこの神の門の上部、弧とそこから下に空いた空間はマリカの爛れ刻印のマークと同じ。マリカの爛れ刻印には「強き使命は、その主を蝕む。まるで逃れ得ぬ呪いのように」とある。つまり神になった時点でこの神の門の形はマリカの呪いとなり、マリカの印(エルデのルーン)となったのだろう。

ちなみに皮肉なことに吊り下げられたマリカの姿そのものがエルデのルーンと同じ形となっている。

忘れ得ぬ憎しみ

さて「はじまりの罪」がマリカが犯したものだとして、忘れ得ぬ罪が何に対してなのかはわかりやすい。マリカが願った粛清の聖戦は角人に対しての虐殺なので、マリカが角人に対して深い恨みを抱いていたことは想像に難くない。マリカは最初から角人へ深い憎しみを感じており、それ故に「はじまりの罪」を犯すに至った。そう考えると話が通りやすいように思う。

では、角人とマリカにどんな因縁があるのか。

最初に一言でいってしまうと「マリカとその一族は角人たちの因習の被害者」なのだ。

まず本編でも行けるボニ村という場所は角人の住まう村であり、そこには「大壺師」と呼ばれる生業がある。この大壺師たちは牢獄に納める大壺を作るのが仕事だ。この牢獄はベルラートとボニ村の地下に存在する。

ちなみに最初に書いておくとこれら影の地の大壺は狭間の地の戦士の壺とはまったく別の文化によって生まれたものなのでこの二つは混同せずに考えたい。ここで語るのはあくまでボニ村の大壺について。

大壺の中身の多くは罪人の血肉である。罪人の肉が切り分けられ、それを大壺に詰め込む。そして牢獄へと納める。この陰惨な生業には意味があり、人の手による輪廻のために行われていることが大壺頭のテキストからはわかる。罪人たちの肉を壺に詰め、いつか善き人になることを祈る。そうした文化となっている。

ここまでならマリカとその一族に何の関係があるのかわからないところだが、ボニ村の霊体の発言や一部のアイテムを見ると話が変わってくる。

…さあ、大人しく壺に入りなさい
そして、善き人になりなさい
お前たちは、巫子なのだから
そのために、生まれてきたのだから
ボニ村の霊体

巫子と呼ばれる人たちを鞭打ちによって傷つけ、痛みにより従順にさせてから罪人の肉と混ぜる。巫子と罪人の肉を混ぜて大壺に入れることで罪人を「善き人」に転生させる。それがボニ村の大壺師たちの所業だ。

巫子の村にはマリカが残した「小黄金樹」があり祈祷として入手できる。そのテキストによると巫子の村はマリカの故郷であるという。

異界の民の末裔とされる、稀人の外見
皆長命であるが、産まれる者はごく少ない
稀人は、かつて狭間の外からやってきた
女王マリカの同族であるという

影の地は今や狭間の外と呼べるので影の地にマリカの故郷があることは何らおかしなことではない。マリカはボニ村にて大壺を作る材料にされる、巫子の一族の生まれなのだ。

また影の城には「慈悲を。攫われた巫子たちに」というメッセージがある。要するにボニ村は巫子を巫女の村から攫い、強制的に壺の中身にしているということだ。

各牢獄、そして影の城で出くわす生肉と人が混ざったようなグロテスクなエネミーは壺の中身だ。よく見ると生肉の中心には細面の女性のような面影があり、これが巫子であることがわかる。

影の城に置いてある大壺と巫子の成れの果てはメスメル軍によって治療中だと思われる。インパクトと嫌悪感が強すぎて見過ごしがちだが、ちゃんとベッドが置いてあり中身の肉が横たえられている。壺も規則的に並んでいる場所があり、仕切りなどもあることからここは病室のような扱いなのだろう。

ボニ村の多くの角人は陰惨な生業を当たり前の文化として続けている。マリカと、その背景を知るメスメル軍の者たちはボニ村とその因習を当然として続けている角人に対して強い憎しみを持っている。

なおこのボニ村の因習と人蠅は関係している可能性がある。そちらの考察はこちら↑で。

ちなみにNPC「角人」の仮面を見ればわかるが角人は大壺師である。角人はメスメルに家族を焼かれた復讐心を燃やしていたが、当の角人自身も陰惨な所業を行っている。

レダはメスメルの火で焼かれた角人たちに対して「奴らもまた、無辜なる被害者などではない。ただ敗者となったに過ぎぬ」と言っていたが、それはこういった背景を示唆しての発言と見て間違いない。

NPCであり二回侵入してくるクウィラインはメスメルに憧れる火の騎士であり、マリカの背景を語る稀有な人物である。クウィラインは二回の侵入が失敗し祝福を失って死にかけているのか、うわ言のようにマリカへの赦しを請う。クウィラインは「私は汚物などではない、決して貴方を穢さない」と必死に訴えている。

クウィラインのこの言葉からするとマリカもボニ村に攫われた巫子であり、壺に入れる肉や他の材料(汚物)と一緒に壺に詰められたのではないだろうか。

ここで改めてトレイラーを見るとマリカの腕に妙な傷跡のようなものが見える。手首から腕にかけて、爛れたような跡がある。また腕の側面にかけてもただの返り血ではなく、深い裂傷のように見える。

マリカは巫子としてボニ村に攫われ、一度は鞭で打たれて壺に詰められた。そこから必死で逃げだし、やがて神になることを願った。そう考えればマリカの深い憎しみの根源と、クウィラインの訴えが繋がってくるのではないだろうか。

かくして角人は粛清されるに相応しい「穢れた者たち」であると女神マリカに定められた。かつて無力なひとりの巫子だったマリカは女神となって力を手に入れ、自らを虐げた者たちをメスメルに願って焼き払わせることにした。

こうして角人への粛清は聖戦となった。

残った謎

ここからは今回の考察で未だしっくりこなかった部分についてメモ代わりに残しておく。

ボニ村の蛇

スクリーンショットがないがボニ村には大きな蛇の脱皮した皮が意味ありげに配置されていた。しかしボニ村の因習や他のテキストに「」にまつわるものはなく、浮いた存在となっている。無理やり関連付けるなら蛇を体に巣食わせているメスメルその人が思い浮かぶが、ボニ村の蛇=メスメル みたいな突飛なことを言っても仕方ないためとりあえず放置している。

因習と関連付けるなら蛇の脱皮による新陳代謝を大壺を用いた輪廻転生となぞらえて考えられるかもしれない。

またトレイラーにあった「誘惑」が蛇によるもので、マリカは蛇の誘惑を受けたことを後悔したからこそ黄金樹の敵は蛇であると伝えたのかもしれない……みたいなことを言えなくないが、妄想度が高いので信じるには値しない。

大母への告解

巫子の村のとある木には巫子の大母と思しき肖像、あるいは大母自身がある。そこでマリカの「黄金の編み髪」を入手することができる。そのテキストにはマリカが大母の前で祈り、願い、告解したことが記されている。

つまりマリカは巫子の大母に対して負い目を感じる何かを行ったのだ。その赦しを得るために一度だけそこで供物を捧げている。マリカが負い目を感じることとしてはトレイラーでの「裏切り」、そして「はじまりの罪」という言葉が思い起こされる。

これまでの事情を考えればマリカが角人の命を生贄に捧げて神となったとしても角人に対して「裏切り」と感じる必要は全くない。マリカたち巫子は無辜の民だからだ。ではマリカのはじまりの罪、裏切りは巫子の大母に対してのものだったのではないだろうか。

大母への供物としたマリカの長髪を見ると、マリカが神となる際に何かから抜き取った細い糸のようなものを想起する。もしもこの布の下が巫子の大母の死体であり、巫子の大母の髪を掲げることで神になることができたら? そして神になることで力を手に入れ、角人たちを根絶やしにすることをマリカが願ったらどうだろう。

それを叶えたとしたら大母へと告解することも考えられるだろう。しかし当然、このトレイラーで抜き取られたものが巫子の大母の髪かはわからないし、そもそも巫子の大母に神を生む力があるのかも不明。なので現状では謎は謎のままだ。

というわけで今回はマリカがメスメルへと願った「粛清の聖戦」、その理由についての考察でした。では、今回はここまで。おつかれさまでした。

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