







オデ、イエティ! 今回は『都市伝説解体センター 各章の謎』の考察をするよ!
この記事の内容はオデの運営するチャンネルで投稿されている『都市伝説解体センター 徹底考察』の一部を抜粋したものになります。さらに詳しい内容はそちらの動画をぜひご視聴ください。
また、当記事・該当動画は『都市伝説解体センター』配信ガイドラインに沿って投稿された内容となります。
タイトル:都市伝説解体センター
公式サイト:https://umdc.shueisha-games.com/
開発:墓場文庫 販売:集英社ゲームズ
©Hakababunko / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES
では、ここからネタバレありで内容を語っていくので未プレイ・未クリアの方はご注意ください。



↑ キャラクターに焦点を当てた考察記事です。よろしければぜひ。
各章の謎
一章の謎



一章でベッドの下の男事件を起こした発端である栄子は、元インフルエンサー。彼女は配信者グループ、5ソサエティの一人である。アカウント名の「5s」は5ソサエティのことで、六章の伏線となっている。若い頃にはヤンチャな配信をしていたというのもSNSで書き込まれている通り。
栄子は容姿の良い美桜に目をつけ、パパ活の斡旋グループで紹介しようとしていた。そのために狂言によって美桜を脅し始める。ただしこれは事件の序盤であり、途中からは美桜による自作自演で事件は進んでいく。



美桜は栄子に雇われた男に驚かされた後、意識を取り戻し栄子とのやり取りを知った。そこから栄子へ逆襲を始めるのだが、このきっかけはSAMEZIMA管理人の手紙である。そしてこの手紙は、あざみが美桜に初日に手渡したもの。困った時や不安な時に読んで、と渡したこの手紙の内容は、苦しい境遇にある美桜を教会へと呼び、話を聞くという約束をしていることが六章で明らかになる。
美桜はこの手紙を栄子に裏切られた後に読み、教会で待っている管理人、あるいは歩に会いに行った。犯行時の言葉から、美桜のそれからの行動は全て管理人が指示したものとわかる。赤いペンキを撒いたことや、栄子が置いていった人形の意味。つまり美桜が堕胎したという事実を栄子が知っているのだと教えたのは、管理人である。
管理人は美桜に復讐をそそのかし、自らの思うがままに操った。美桜の行動を時系列で表すとこんな感じだと予想できる。
初日 あざみが美桜のアパートで調査、手紙を渡す
夜に美桜が屋根裏から降りてきた男に襲われ、栄子に疑いを持つ
→美桜が手紙を読み、管理人と会う
管理人は栄子を欺くための計画を伝える
二日目 あざみが美桜のアパートを調査し、ベッドの下を封鎖
夜に美桜は廊下で男に会った、と嘘をつく
そのまま部屋に戻り、部屋に血を撒く
→屋根裏の男はベッドの下に隠れようとするが封鎖されているため、
慌てて屋根裏に戻って息を潜めていた。
三日目 あざみが美桜のアパートを調査し、夜にも訪れる
この時、屋根裏の男と会いそうになりベッドの下に隠れる
美桜は栄子のマンションに泊まる。
夕食のため二人で出かける際に一人だけ部屋に戻って血を撒き、
自分のカルテを探す。その後、栄子と合流する。
四日目 事件が解体される。
夜に栄子宅に潜んでいた美桜が、ベッドの下から現れる。
栄子の意図してない怪奇現象により、美桜は栄子の懐に入りやすくなった。栄子は美桜の家を引き払い、手中に収めようとしているので都合がよい。二人の心理を利用して争わせ、栄子を死の危機に直面させる。それが管理人の狙いだったと考えられる。
美桜は教会で話した相手をあざみだと感じていたが、自信はなさそうだった。つまり美桜は手紙をくれたあざみを、管理人その人か、あるいはその仲間だと思っていた。六章であざみがグレートリセットを止めるため奔走する姿に困惑しているのは、美桜にとってあざみはリセットを願っている本人に見えているからである。



ちなみに管理人(歩)は自らの過去と重ねて美桜に共感しているように見えるが、実際は栄子が堕胎の事実を知っているという嘘のエサをちらつかせ、栄子に差し向けている張本人である。その後、動画によるフォローで美桜は静かな暮らしをできているのだが、歩が美桜を友達として大事に思っていたかというと、かなり疑問が残るところである。
美桜との接点はあざみが美桜の探し物を念視で見つけたことで生まれたようだが、これも栄子に目をつけられている美桜を事件のトリガーとして使うため、親交を結んでおいたと解釈もできる。
ちなみにこの事件のイルミナカードは、栄子がぽろっと落としている。これは現場で栄子に会ったあざみによって、
無意識のうちに仕込まれたものだろう。
二章の謎
二章で標的となったのは谷原きのこ。彼もまた5ソサエティの一人である。彼も元から人気配信者であったことが仄めかされている。三章の不忍池には「5sきのこ参上」、という落書きが存在する。これは上野天誅事件の際に書いたものなのだろう。
れっきとした犯罪に加担している栄子に比べれば多少マシではあるが、あざみに対しての傷害込みのやらせや、過去の協力者との仲たがいなど、その素行の悪さは散りばめられている。



この事件ではイルミナカードがきのこへ送られ、それを発端に事件が起きた。もちろんカードを送ったのは管理人だ。
きのこはイルミナカードを見て、鏡に向かって霊を呼ぶ儀式を思いついた。つまり管理人によって、きのこの行動は
コントロールされていたことになる。
そして、過去に起きた無理心中を装った殺人事件の犯人である屋敷サラ。彼女をそそのかしたのもまた、SAMEZIMA管理人である。屋敷サラはかつて104号室で浮気した男を殺害し、無理心中を装っていた。罪に問われなかった彼女はその後、おそらくは精神病院か何かに入院している。彼女は家族からは無関心であるとされているため、辻褄は合う。



そして入居してきたきのこによって104号室の鏡が露見するのではないか、と管理人に告げられたサラは、幽霊に扮してきのこを脅かすことを決める。この時の幽霊に扮したサラの写真はネットにも挙げられているが、実体のあるサラを撮影する必要があるため、協力者が存在する。
候補としてはやはり管理人。もしくは、公園の管理人のおじさん。公園の管理人のおじさんは幽霊の存在を強く否定しているため、撮影を手伝ったが、幽霊の存在については口止めされている。あるいは、子供たちが怖がるから幽霊の存在を否定している、という可能性がある。



何にせよヒナタこと屋敷サラは、自らが殺人事件の犯人であると発覚しないよう、四谷みわ子の起こした事件と混同させ、かつ幽霊がいるという噂でネットをかく乱した。事件が二つあったことは、四谷みわ子という言葉に聞き覚えのないお隣さんや、同じようなアパートが二つあることから伏線が張られている。
また、サラは公園の奥にある病院から抜け出してきていると捉えられる。公園の管理人は、公園の奥からは
夜な夜な患者が抜け出してくると語っている。サラは部屋にこもりきり、たまに抜け出してくると言っており、
病院に入院している患者だと思われる。精神状態もかなり不安定。



ちなみにサラが首を搔いている動きには意味があり、首は心中に見せかけるため、男に包丁を持たせてサラを刺させた部位だ。公園の管理人がサラに見覚えがないのは、彼女の髪が事件当時に比べ短いからだろうか。
そしてあざみが公園で見た痕跡では、幽霊が公園の奥に向かっていくものがある。きのこが幽霊に扮してあざみに襲い掛かった件でうやむやになっているが、この逃げた幽霊は、きのこの配信で映った後のサラの行動と見て間違いない。



あざみは六章にて公園に戻り、管理人とサラが話している痕跡を見つけている。この時、白装束として見えているのは
本当の姿(つまりあざみ自身)が映ると不都合なため。公園の管理人も、サラはあざみとしか喋っていないと言っている。ちなみに病院側から出てきたように見えるあざみの痕跡もあるため、管理人は直接、サラに会いに行ったのかもしれない。



また、ジャスミンの背後に見えた幽霊の痕跡は、管理人として写真を撮り、幽霊に扮したサラが振り返った瞬間のものだと考えられる。
二章で唯一、答えが出せなさそうなのは四谷みわ子の父親が儀式で呼んだ霊だ。四谷一家に関しては特に管理人との繋がりも見えず、本当の怪奇現象にしか見えない。
三章の謎
あざみたちが参加する上野オカルト&ダークというツアーは、主催者である野村朋子が兄の仇を探すために開催している。野村は参加者を観察するため、自らも参加者として潜り込んでいる。



例えばあざみに見せた野村健吾の幽霊も、反応を見るための手段。そのため、あざみに本当に幽霊がいたのだと言われた際は、逆に呆気に取られている。これは野村健吾の幽霊が野村の作り話だからだ。
野村が犯人と睨んでいるのは松田で、そのため彼の封筒には蛇の絵が描かれた紙が入っている。しかし実際のところ松田は犯人ではないため、これは空振りだった。



二度目のクイズは山田ガスマスクがいち早く答えに気づき、上野天誅事件の情報が書かれた封筒を手に取っている。
これはもちろん、彼が野村健吾を殺した、5ソサエティのメンバーだからである。この封筒の中にはガスマスクにとって致命的な内容があり、そのためにガスマスクはツアー後に地下へと戻り、そこで拉致された。
野村はガスマスクではなく松田を疑っていたため、主催者である野村はガスマスクが犯人グループであることなどは知らなかった。廃駅に来てからあざみが見た文言、「腕にアザもつ罪人 現世に戻る事を許さず」。これにガスマスクが反応しているのは、5ソサエティの中にアザのある者を知っていたからだ。しかしそのアザ持ちはガスマスク本人では
なかったため、彼は追及を逃れている。
ガスマスクは三章ではなりを潜めているが、殺害した野村健吾の財布から巳銭守を盗んでいる。そしてネットで自慢するなど、良心のかけらもない人物である。
ガイドは癖のある人物だが、上野天誅事件をよく知らないため、まったくの無関係。巳銭守を偶然持っていたためガイドに選ばれたのだろう。



ツアーの途中から怪しい動きをし、ジャスミンに捕まった藤原は、主催者側に協力するジマー。あまりにも怪しく、そして見た目のまんまに問題のある人物だった。藤原の役割はツアーを円滑に進めるため、ヒントを出す係だと考えられる。ツアーの中盤まではあざみによって答えが解かれていたが、偏った知識が必要になる巳銭守に関しては、彼が謎解きのヒントを出しているため。
彼はおそらく廃駅に差し掛かる前に姿を消し、裏から計画を手伝う役目があったが、ジャスミンによって捕まえられてしまった。頭にライトがついているのも、明らかに廃駅までの通路で活動するために思える。



最終的にこのツアーの終着点は廃駅であり、野村朋子は容疑者である松田を追い詰めるために姿を現した。しかし実際のところ松田にアザはなく、ガスマスクにもない。野村の計画は失敗したのである。野村は証拠隠滅のために協力者である歩(あざみ)を連れて逃げることを提案した。
実はツアーの最中にあざみは野村と連絡先を交換したと語っているこれはおそらく、管理人として連絡する際に登録したもの。つまり最初から連絡先を持っていた、と考えられる。野村はあざみと一緒に、犯人が見つかるまでツアーを開こうと言うのだが……。しかしここでは歩によって計画の穴を指摘され、心を折られてしまう。
六章の探索において、歩から野村へのメッセージが残っている。小判を盗み取り腕にアザのある男。開催を焦ると犯人を逃します。これは真実も含んでいるが、この場のガスマスクを犯人とする証拠にはならない。理由は彼自身にはアザがないからである。



ではなぜ半端に真実を伝えたかと言えば、ガスマスクを焦らせるためである。ガスマスクは雑居ビル地下の時点では
公園で手に入れた封筒を見ていない。しかし小判を盗み出した、犯人はアザを持つなどの正確な情報を知る者がいたことで、事件の間に封筒を確認せざるを得なかった。そして地下に誘い込まれる事となった。



歩は野村の計画を失敗させ、ガスマスクを死なせないようにしなければならない。そのために半端な計画を立てさせ、
不安定な心を折るようなことを言った。ちなみにこの時の廻屋は歩であり、この言葉は直接、あざみの口から伝えられている。つまり野村はあざみによる一人二役で罵られたりフォローされたり、嘲笑われたり、計画をやめるように説得されているということだ。
こうして野村を無力化させ、ツアーを無事に終わらせるのが歩の計画だった。廃駅で電波が通じる、というのは
おそらくあざみがついた無意識の嘘である。あざみが着信していると感じている電話は、脳内の歩からのものだからだ。これを周りに気づかせないために、歩は「あまり私を意識させないように」と注意している。
また、電波が通じるのは一部の場所と言いながら、駅の端でもあざみは歩と通話している。これは本当は電話などかかっていないという伏線だと捉えられる。
四章の謎



西谷が手に入れ、眉崎潤へと送られたことで呪物となったコトリバコの事件。この事件は紐解かれればシンプルなものの、実は西谷と配達員の伊藤が共謀している必要があった。まず六章において西谷は教会で管理人と出会ったことが明かされている。この事を考えると西谷が教会に来たことも、管理人の仕込みのうちなのだろう。管理人は西谷の話を聞いて、同じく眉崎へ復讐したい配達員と引き合わせた。そして蛭塚村の伝承を使って、呪いの箱を完成させたのである。
箱自体はただの茶箱だが、おそらく演出のために殺虫剤が塗ってある。西谷の家でも眉崎の家でも、近くで虫が死んでいたのはそのためだろう。また、中には毒が仕込まれていた可能性も高い。眉崎は箱を開けたことで体調不良となった。中には呪いに関する写真や奥歯が入っていたが、これで眉崎がショックを受けて体調を崩したのでなければ、箱にはシンプルに弱めの毒が仕込まれていたと考えるのが無難である。



念視で見えた蛇のような影は、立ち上る毒の痕跡ではないだろうか。また、最後に眉崎は吐血しているが、
これも何者かに毒を仕込まれたと見える。眉崎の彼女であるリナは驚いているが、扱いのひどいリナは動機があるとも言える。SNSでも「ソッコー別れるか、毒盛るか」というコメントもある。
しかし、現場にいたあざみが直接、毒を盛ったというのが無難だろうか。最終日は眉崎もリナもジャスミンもひどい体調なので、気づかれずに盛ることはできそう。



また少し謎である部分として、ちょい役にも関わらず、倒れた西谷を運ぶためのレスキュー隊員が登場している。
そして彼は「また眉崎の関係者かよ」と愚痴を言っている。これは眉崎の健康食品で被害を出した人物が他にも多数存在した、という描写なのだろうか。
あるいは不忍池で野村健吾が心肺停止になった際に眉崎が救急隊員を呼んだという可能性もあるが、おそらく5ソサエティの態度からしてまずないだろう。
五章の謎
五章ではユーテックプライオリティ社長の黒沢と、彼のドッペルゲンガーを巡ってストーリーが展開された。
ではそもそもドッペルゲンガーとは何者だったのかを考えていこう。



まずは黒沢のドッペルゲンガーについて。社長室に現れたというドッペルゲンガー。これは秘書の狂言である可能性が高い。秘書は机の引き出しにあるデバイスを盗んで、黒沢社長がいたと言えばいいだけである。監視カメラの映像も過去の黒沢社長本人のものを加工した、で終わり。
とはいえそうなるとドッペルゲンガーの痕跡がよくわからなくなるので、一応ドッペルゲンガーも秘書と一緒に
社長室に入り、盗みを手伝ったとも見れるだろうか。
次に社長宅に現れたドッペルゲンガー。黒沢は確かに対面しているため、ドッペルゲンガーは実在はしている。
しかし目の部分が真っ黒であり、これは本人に自分自身ではないと確信させないため。また、黒沢を驚かすための特殊メイクではないだろうか。
ドッペルゲンガーは家政婦に招き入れられ、外付けHDDを奪う。そして写真と手紙を置いて、黒沢を驚かせて家から出て行った。家政婦はドッペルとグルなのでいきなり消えた、などという嘘を黒沢に言える。黒沢のドッペルは、黒沢本人によく似たジマーなのだろう。ちなみに家政婦は前にも黒沢の部屋に入っており、外付けHDDの件を確認したのは家政婦だろう。
サーバールームの件に関しては、時系列的にはデバイスが盗まれるより前の事。社員も警備員もジマーなので、これもただ口裏を合わせるだけでいい。あざみが見ている黒沢のドッペルの痕跡に関しては、実在が怪しいところである。



この黒沢のドッペルの痕跡は、黒沢ではなく管理人であるという可能性もある。サーバー室に入る理由があるのは、
管理人その人だ。しかしあざみの見る痕跡は歩によって都合の良いものを見せているため、あえて自分の痕跡を、黒沢のドッペルとして見せている可能性もある。
最後に黒沢宅について。黒沢宅のドッペルは黒沢の狂言である。これは後に詳しく語るが、あざみの能力を試すため。
事実、黒沢宅には黒沢のドッペルの痕跡は存在しない。
次にあざみとドッペルについて。あざみはドッペルゲンガーを極度に恐れている。それはドッペルゲンガーとされる
存在の痕跡が、自分を見ているように感じる。と主張していることからも明らかだ。これはあざみが多重人格者である
ためだと考えられる。あざみは調査の帰り道で、自分のドッペルゲンガーを見ている。この時のあざみの言葉はかなり重要だ。



あれ…なにここ…真っ暗…なのに
凄くうるさい…。
?????「見たくない…聞きたくない…。
怖い…辛い…助けて…。」
そうですね酷くうるさいですよね。
私と静かな所に行きましょうか?
これらの不穏な会話は、あざみの脳内で繰り広げられている。まず、真っ暗なのに凄くうるさい、と言ったのはあざみ自身だろう。そして名前が?の、怯えている人物はおそらく幼い頃の歩だ。



如月努の手記では、歩は「頭の中がうるさいと言っていて」と書かれている。おそらく鋭すぎる洞察力を持つために、
歩は情報の多さに苦しむ性質を持っていた。そして最後に、静かな所に行こうと誘っているのはあざみ……なのだが、口調は廻屋である。つまりこれは歩とその脳内に存在する、あざみと廻屋。三人の人格の会話と考えられる。
あざみは歩を知覚できないが、もう一人の自分がいるという疑いを心の底では持っており、その恐怖がドッペルゲンガーとして現れたのではないだろうか。
五章の謎の締めくくりとして、黒沢について。黒沢は数年前から警察のデバイスを使用しており、企業が成功したのはおそらくそれが理由。この事を父はまったく知らず、黒沢はそれにかまけて好き勝手をしていた。しかしジマーによってデバイスが奪われたことで焦り始める。黒沢がデバイスのことを詳しく話せないのは、バレたらマズいから。



そしてデバイスを取り返すことが難しいと悟った黒沢は、センターとあざみを犯人に仕立て上げることを画策する。
あざみに念視を使わせて、金庫を開けさせる。その様子を拡散すればあざみとセンターが悪者となり、警察は被害者となる。もちろん父親である誠二にはそのことを認めさせ、センターがテロに加担した犯人、という流れで決着させようとしていたのだろう。
その工作は半ば成功しかけていたが、黒沢本人が拉致されたことで叶わなかった。黒沢は世直し系配信者グループ、
5ソサエティの元リーダー。そして上野天誅事件の主犯である。黒沢は如月努とは学生と教師という関係だった。
如月は後に野村健吾殺害の犯人を5ソサエティだと突き止めている。その際、如月はこう残している。「彼を思うと心苦しい結論だが…事実である以上仕方ない」。如月は教師として、黒沢を犯人として突き出すことに良心の呵責を覚えていた。
対する黒沢は如月に冤罪を被せ、ネットの悪意を集中させることで如月を死に追いやった。黒沢は非常に狡猾な人物であり、如月にしたことをあざみにも行っているということだ。



そんな黒沢だが犯行の動画をHDDに隠し持つという、最大のミスを犯した。これは元仲間である5ソサエティからも
非難されている。物語的な都合の他にこの証拠を持ち続けていた理由を想像してみよう。まず彼が一つの殺人事件をもみ消すという、最悪の成功体験を得てしまったこと。親が警視庁の局長であり、自らも社長。その揺るぎない環境が彼を慢心させ、決定的な証拠を残してしまったと考えられる。
あるいは彼は人を貶め傷つけることを喜びとするサディストであり、人生で二度とない機会を記録としていつでも見れるようにしていた、という考え方もある。ともかく彼が5ソサエティの盾や、HDDに張られたステッカーなど、それらの活動に対しての一つの執着を持っていたことは確かだ。
実のところ5ソサエティの面々は、殆どが俗っぽい欲望を持つ悪人である。栄子は豪勢な暮らし、きのこは名声。
ガスマスクはPV、眉崎は金と、それぞれ理解しやすい欲望に忠実に行動している。それと比べると黒沢は地位、名声、金、権力とあらゆる全てを持っている。彼に足りないのは若い頃のようなスリルと、非日常感だったのではないだろうか。
5ソサエティの他のメンバーを脅すためとも考えられなくもないが、そもそもメンバーの中で最も成功している黒沢が他のメンバーを脅して得たいものなどないのではないだろうか。証拠動画を残すというリスクの方が、得られるものより大きいはずだ。黒沢は完璧だった。完璧が故に致命的な爆弾を隠し持っていた、と考えるのは面白いかもしれない。
六章の謎



まずは五章のエンディングで管理人と対峙したジャスミンについて。この管理人の布の下を見てジャスミンは驚愕しているのだが、実はこの布の下はあざみでも、廻屋でもない可能性が高い。理由は六章で合流した後もあざみや、
あざみと会話している(と思われる)廻屋に特に反応していないためだ。
布の下にあったのはおそらく別人の顔で、管理人だと思われたのは替え玉のジマーだった。しかしなぜ替え玉を見て、ゼロ枚目……と呟いたのかはよくわからない。辻褄を合わせるとしたら野村健吾の妹である、野村朋子だった……とか。ともかく中身はあざみたちではなく無関係の人で、かつ上野天誅事件を彷彿とさせた。あるいは顔に天誅と書かれた紙が貼ってあったとか、もうその辺りで考えている。ちょっと投げやり。
ジャスミンが調べていたゼロ枚目のカードというのは、上野天誅事件の際に出された、予言のカードのこと。しかしこのカードはイルミナカードとは関係なく、5ソサエティが後出しで出したもの。これは黒沢が如月に冤罪を被せるための悪趣味な方法のひとつであり、それ故にオカルトをモチーフとしていた。



如月歩がイルミナカードを作り、5ソサエティの不幸を予告したのは、ゼロ枚目のカードに対する意趣返しである。不完全な後出しの予言擬きに対し、完全な予言かつ犯行予告のカードを返した。そしてその通りに計画を進めた。全て歩だから出来た犯罪計画だ。
ちなみにイルミナカードのモチーフは、現実に存在する「イルミナティカード」だ。現実のイルミナティカードも未来を予言したカードだと言われている。



ジャスミンはこのカードについて、非解決事件をまとめたクローゼットで調べていた。この場所は警察の秘匿する領域であり、データとしてまとめられていないので、ハッカーである歩の手が届かない場所である。ジャスミンはこのクローゼットで上野天誅事件を調べ、情報が廃棄されないように勝手に小分けにしている。ジャスミンのこの行動は、もしかしたらあざみがクローゼットに入ることを予測して、自らの痕跡を残すためだった、とも考えられる。
さらに飛躍させるならジャスミンをセンター職員として泳がせていた理由は、ジャスミンが公安の者と知っており、
いずれ利用してクローゼットに入るつもりだったから……。などとも言えるのだが、これはかなり根拠が薄い。
まず、そもそもハッキングできないとはいえ歩はクローゼットに必ずしも入る必要はない。なぜなら兄を死に至らしめたのが5ソサエティであることは知っているし、非解決事件の情報を探る必要はないからだ。グレートリセットによってクローゼットの非解決事件も全て詳らかになったのなら、それが最大の目的だったと考えられるのだが、特にそういうわけでもない。なのであくまであざみがクローゼットに入れたのは偶然だった、と考えている。



次にクローゼットに秘匿された非解決事件のひとつ、「ハッピー777億円流出事件」。資産家や政治家が使用していたSNS、ハッピー。そこで行われていた非合法なマネーロンダリングが暴露され、暗号通貨が流出したという事件だ。
これは歩によるハッキングで起きている。事件を起こした理由は二つあると考えられる。
まず一つは非解決事件があるかどうかを見極めるためだ。上野天誅事件が非解決事件にされたことで、歩は警察内でのもみ消しを確信している。そうした非解決事件になりうる事件を起こすことで、公安の動きを再確認したかった。
もう一つはシンプルに資金集めではないだろうか。イルミナカードに関する事件の仕込みはあまりに周到であり、莫大な金額も掛かっていそうである。兄である努が存命の時には、歩は配達業務に同行したり、就職する方法などを人に聞いたりしていた。これは働く兄に少しでも楽させようと、いずれ普通に働くことを考えていたのではないだろうか。



当然ではあるが良識のある如月努が、歩に非合法なハッキングで利益を得させていたとは思えない。つまり兄である努がいなくなったことで、歩の倫理観は薄れていったということだろう。また、このハッピー事件ではSNSに興味深いコメントがついている。暗号通貨は世界中の孤児院や児童基金に寄付されたという説。またソースはないがこの寄付で
新しい施設が出来たいう発信もある。
もちろんただの書き込みではあるが、如月兄妹は児童養護施設の出身。歩が思うところあって、寄付をしたという可能性は高いだろう。



また、あざみは犬神大学の研究室で「そのまま残ってる!」と驚いている。これはあざみに、歩として
兄の研究室に訪れる機会があったからだろう。でなければ「そのまま」なのかどうかはあざみには判断がつかないからだ。また、見覚えのある置物や本が多くセンターに居るみたいだとあざみは感じている。
それはもちろん、センターが実際はただの廃墟であり、あざみと廻屋が共有する、架空のイメージ空間だからだろう。
もしくはビルにはTKCチャンネル用に、背景がまともな部屋も用意されているのかもしれないが。歩が小さい頃に訪れた兄の研究室が、彼女にとって思い出深いものという描写である。
努の痕跡にだけ触れられるのは、もちろんここで確かに触れた経験があるから。研究室は歩にとっての幸福と、苦しみの両方を内包した場所だ。
次に教会での出来事について。人質になった5ソサエティとあざみが対面を果たしている。この時黒沢は「何がドッペルゲンガーだ! あれはお前だろう!」と言っている。これはあれはお前が差し向けたんだろう、という意味だろう。
さすがに黒沢のフリをするには、歩は似ていなすぎる(そもそも歩は女性である)



5ソサエティは明らかにあざみに怯えているため、歩(管理人)として、一度は顔を見せているのは確かだ。研究室からナイフを持ってきたあざみが、「楽にしてあげますね」と言っているのも面白い。歩はここで全員を解放するつもりはないため、ナイフをあざみに持ってこさせたのはわざとだろう。
管理人とのビデオ越しの対面は、もともと管理人が録画しておいたもの。音声がかみ合っているのは、そもそも管理人とあざみが同一人物なので不思議はない。「私に問えるのは私だけ」という管理人の言葉も、同一人物であることを暗示している。
というわけで今回は考察動画から各章の謎を抜粋しました。おつかれさまでした。
↑ 雑多なものですが感想動画もあるのでよろしければぜひ。


